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楽屋裏話

  • ★寄席・協会の関係★(番外篇 ・春風亭柳昇・その3) ~社団法人落語芸術協会事務局長 田澤 祐一~

更新日2008年6月5日

前回から時間あいてしまいました。すいません
(柳昇師匠の続き編)

ある年、恒例の新真打2名の挨拶廻り(真打昇進が決まり真打披露パーティーの前に口上書や扇子・手拭い・パーティーの案内状などを持って、各幹部師匠のお宅に新真打と真打の師匠共々ご挨拶に伺う)時の会長米丸師匠宅を振り出しに圓右師匠、小圓馬師、、
と順次廻って、柳昇師匠の家に着いた。ご本人が在宅で玄関でご挨拶していると、何処からともなく一匹の猫が、柳昇師匠の脇を猛スピードで走り、二階に続く階段を登って行った。挨拶を中断して一同見上げていると、
柳昇師匠「あれは飼い猫なのに家の中で野生化しちゃたんだね、誰にもなつかないんだね」そこへ何処からともなくもう一匹の猫が・・・今度は、柳昇師匠の足にまとわりついて猫立て声を上げて甘えている。
柳昇師匠、猫の喉を撫でながら「同じ猫でもね、さっきの猫は可愛げが無いからもらいが少ないんだね、そこいくとこの猫は愛想がいいから、いろいろともらいも多いんだね。落語家も一緒でね、可愛げがあれば少々落語がセコくても仕事を貰えるんだね」
(一同、うなずき・・・・・・・・)
柳昇師匠「君たちもね、この猫を見習って可愛がれるようにしなさい!よしよしご飯か?うん?。真打に、じゃ~頑張って。」
人間で落語家生活15年近くの真打なのに見本は一匹の猫なの?
翌年も2名の真打が誕生し、挨拶廻りに出かけた。そして柳昇師匠宅に到着。
玄関を入り待っていると、右側の書斎から入ってと返事があった。恐る恐る書斎に順次入って行くと、ソファーに柳昇師匠が座っていて、熱心にトロンボーンを磨いている。
柳昇師匠、新真打に「ま、座って!}(沈黙の後おもむろに)
「この楽器てやつはね!このように磨いてやるといい音を出すんだよ。落語も一緒でね普段から稽古を一生懸命やれば磨きがかかって良くなるんだね、君たちもこの楽器のように頑張らないといけないね。じゃ。」
今年は楽器とは・・・言ってる内容は大変ありがたい教訓なんですが、猫の次は楽器ですか・・・・人間は出てこないんでしょうか?

何度も言うようですが、柳昇師匠は人間味のある優しい方です。私にも何かと目を掛けてくれました。ある時、
「君は尊敬している人はいるかい?」
「尊敬ですか?」
「人はね、尊敬していると言われると、言った人を大切に思うんだよ、可愛くなるんだね。落語家でいけないのは誰も尊敬しない、師匠さえも尊敬しない人もいるんだね」
「柳昇師匠は尊敬するかたがいるんですか?」
「当たり前だよ、私の師匠の先代柳橋師匠・先代小文治師匠もそうだね、それに大山巌元帥・乃木大将・山本五十六大将(落語&軍人)・・・・立派な人だったね。ところで君は?」
「両親と柳昇師匠です・・・」

この後の私がどのような扱いを受けたかは皆様のご想像にお任せします。

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