特別投稿パート２ （カミヤでの扇枝師匠編②）芸協に入会直後

ある時、いつもの様に扇枝師匠が奥に座り野菜焼きをつまみに飲んでいる。
よせばいいのに師匠のそばで飲んでいたあまり見かけない客が店に貼ってあるポスターを見て
客「うんっ？・・さくら寄席の春風亭扇枝独演会で芸術祭参加のポスター！？。」
「はるかぜて～せんえだって落語家なの？・・・」
大島さん始め常連３～４名と私は真っ青。背筋に汗が・・・。
大島さんが仕方なく、「それはしゅんぷうていせんしと読むんですよ。」と説明すると
客「へ～？聞かないな～俺はこれでも寄席通なんだよ！」（寄席通が「はるかぜてい」と言うか！怒）。
客が師匠の方を見て、
客「あなた昨日もそこで飲んでいましたね～。私ね昨日初めて来て気に入りまして今日も寄ったんですが（どうやら昨日初めて来たらしい）あなたは常連さんですか？」
師匠「・・・・・・・・」
客「この店に落語家さんがよく来るんですか？」
師匠「・・・・・・・・」
客「会いたいな～今度来たら教えて下さいよ。」
全員（もう来ててそこに居るよ！！）
突然師匠が、
扇枝「落語家（らくごか）は来ないが日本一の噺家（はなしか）は来るよ！寄席にちょろちょろ出るような、ろくでもない落語家は大勢いるが噺家は少ないんだよ！」
客「あなた落語家さん・・・？」
扇枝「馬鹿野郎、俺は噺家だ！」
客「名前は？」
扇枝「三遊亭円朝だ！！！」
客「うわ～っ円朝師匠、、お近づきにまっ、一杯どうぞ。」
（やはり寄席通は嘘だ円朝師匠が生きてるはずないのに）
師匠「じゃ、ホッピー一杯・・・」
客「円朝師匠このポスターの扇枝さんとはお知り合いですか？」（気付けよ！！）
扇枝「扇枝は、、あいつは良いもの持ってるんだが人間が偏屈だからな」（よくお判りで）

その日は円朝師匠と呼ばれる度に機嫌が良くなり、最後は二人で肩を組んでもう一軒と出ていった。
その日以来その客はカミヤにくることは無かった・・・・・。

特別投稿パート３（カミヤでの扇枝師匠編③） 芸協に入会後

やはり芸協の事務局に入ると夜遅くなる日も多いので疲れをごまかす為に久し振りにカミヤへ寄った。
お店の大島さんが「あれっ祐ちゃん、今日は師匠の件で来たの？。」
私「・・・いえ？」（なんだなんだ？）
大島さん「今日２階（千代ママの一家は別の所に引っ越した後）で師匠が常連の皆さんにご馳走したいといってこれから来るんだよ。」
私「何か良い事でもあったのですか？」（何で自分が務めてる協会の師匠の事を聞く？！）
大島さん「判らないけど７時過ぎに２０人くらい声掛けたらしいよ？祐ちゃん知らないで来たの？」
私「知らないですよ、師匠には会ってないし・・？」
大島さん「いいんじゃない一杯飲んでれば、千代ママも来るから。」

しばらく下で飲んでいると師匠が大きなラジカセを持って登場！
師匠が来るなり「田澤も良ければ上に来いよ」と言ってくれたので私も参加。皆さんも揃い総勢２０人くらいで乾杯して飲み始める。隣りに座った常連客が、「祐ちゃん、、今日は何の集まり？」と聞いてきたので、こちらが聞きたいくらいと応えると廻りの人達も皆さん訳は聞かず、ただご馳走するからとしか聞いて無いらしい。２０分くらいたった頃だろうか、師匠が急にラジカセを出して

扇枝「おい皆、飲み食いはいいが静かにしてくれ！」
一同「・・・・・・・・・・・・・？」

何か重大な発表かな？でも何でラジカセが必要？？
ラジカセのボタンを師匠自らスイッチオン・・・ポチッ

「こんばんはＮＨＫラジオ寄席、今日のご出演は春風亭扇枝さんの落語でお楽しみ下さい。演目は塩原太助一代記から・・・」

一同心の中で・・・・・・「なに～～～～！」・・・。

その後約４０分に渡り喋る事もトイレに行くことも出来ず。
皆さん下を向いたまま「・・・・」。お通夜より苦しい雰囲気！
なにより困ったのは、そこにいる人達の私に注がれる恐ろしい視線。。。目が血走っている！！
（皆さん誤解だよ俺も知らないで参加しているんだよ、グルじゃないよ～針のむしろ状態）説明したいが喋れない。
（何で２階に上がったのだろうと反省してももう遅い・・・）

やっと一席が終わり師匠が一言・・。

扇枝「ＮＨＫもいいが１時間以上欲しいと言ったのに４０分しか無いんだよ、、芸が判らないのかな～」（その日、ＮＨＫさん断ってくれてありがとうと感謝したのは多分、私だけではないはず。）皆さんラジオ聞き終え怒る気力も萎えたのか、その後は飲むこともなく逃げるように解散。私は誤解を受けたままいい訳も出来ず。
しばらくカミヤに行く気力も起こらずで散々な思い・・・。

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