今村信夫作といわれていますが、明治の初期に外国人落語家ブラックが「ビールの賭け飲み」という題で演じています。さげまで前のことを気づかせずにやるところが難しいです。酒を飲むところで段々酔っていく様が見ものです。
客のお供の下男が大酒飲みだといい、旦那と客で五升飲めるか賭けをする。心配だから表で考えると出て行くが、しばらくして飲んでみるかと帰ってくる。一升入りの盃で五杯飲む。旦那が「表で考えるといって何かマジナイをしてきたのだろ。それを教えてくれ」というとお供のものは「今まで五升なんて飲んだことがないので、表の酒屋で試しに五升飲んできた」
この噺は、登場人物は2人だけですが、性格動作ともにまったく違うので演じやすいです。ただ、長さんの方が得てして馬鹿者になってしまうので、そうさせないところが力量の見せ場でもあります。
気の長い長さんと気の短い短七さんは、性格が真逆なのに仲がいい。あるとき、長さんがタバコをすうのを見て短七さんがじれったくなり「こう吸うんだ」と何服か吸って見せる。そのうちの一つの火球が、タバコ盆に入らずに袂に入った。これを見た長さんが「お前は人にものを教わるのは嫌いかい」「嫌いだけどお前は別だよ」「ホントに怒らないかい」「ああ、怒らないから言ってくれ」「タバコの火球がタバコ盆に入らずに袂に入った。ことによったら消したほうが…」「ああ、ああ、何でもっと早く教えないんだ、この馬鹿野郎」「そんなに怒るじゃねえか。だから教えねえほうがよかった」
前座噺。知ったかぶりの和尚と、いたずら好きな小坊主の掛け合いが見ものです。和尚の生半可な貫禄と、小坊主の茶目っ気を演じるところがポイントでもあります。
知ったかぶりの和尚が、病を患って医者に診てもらう。「てんしきが有りますか」との問に、判らないとも言えず「有りません」と答える。小坊主に近所に借りに行かせるが、誰も判らずごまかされる。医者に聞きに行かせると「おなら」と判るが、小坊主がいたずらをして「御盃です」と教える。次に医者が来たときに、「てんしきを見せます」といって盃を出す。医者が「我々の方ではおならがてんしきですが、寺では盃がてんしきですか?」「さよう」「どのような訳で?」「どちらも過ぎますとブウブウが出ます」