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  • ★寄席・協会の関係★(番外篇 ・春風亭柳昇・その4) ~社団法人落語芸術協会事務局長 田澤 祐一~

更新日2008年7月20日

今年の春の真打昇進襲名披露興行も無事に終わり一息と言いたいところですが、9月にまた襲名披露興行があるので準備で暇がない状態です。ちなみに襲名は八代目春風亭柳橋を現在の春風亭柏枝師匠が継ぐことになり目出度いかぎりです。 前回は真打の挨拶回りで柳昇師匠のお宅での出来事でした。今度は柳昇師匠が自分のお弟子さんと挨拶回りに行った時のことです。その年は当会では珍しい抜擢真打の誕生!春風亭昇太師匠の挨拶回りでした。師匠である柳昇師匠と昇太師匠と私、それに運転手役の山崎氏(現ティルト社長)の4人で回ることになり出発。まずは米丸会長(当時)、次に小圓馬師匠、余談ですが小圓馬師匠は朝早いのが大の苦手。ただどうしても新宿の事務所から出ると最初が会長宅で道順で次が小圓馬師匠になってしまう。御本人は遅い時間が希望なんですが、そこを何とか頼んで伺うと、必ずパジャマ姿で迎えてくれ一言「朝早くから大変だね、ま、頑張って!以上」誰が付いて行っても毎回このパターン。次に圓右師匠のお宅へ。こちらは朝早くても必ずビールを用意してくれて乾杯するのが恒例です。いつものように乾杯して行こうと思ったが柳昇師匠がご厚意のビールを残しては悪いということでぐいぐいと呑んでしまう。ほろ酔いになった師匠はいつもより饒舌になりご機嫌!この後は小南師匠のお宅でご挨拶して落語協会の小さん会長のところへ。小さん会長宅は車で家の前まで入れないので、川村学園のそばに駐車して山崎氏を残し3人で歩いて向かった。途中なにやら柳昇師匠の様子がおかしい?さっきまで饒舌で上機嫌だったのに急に無口になって急ぎ足。さすがの柳昇師匠も小さん会長に会うので緊張しているのかな?私も昇太師匠も違う協会の会長はしくじれないからと緊張ぎみの状態。そしていよいよ小さん会長宅の門前まできた。柳昇師匠は無言のままチャイムを鳴らす。
向こうから「どうぞお入り下さい」何とも言えぬ緊張だ。中庭を通り玄関を開け、私が大きな声で「おはようございます!芸術協会です」「・・・・・・」

しばし沈黙のあと2階から無言で小さん会長が凄い貫禄下りてきた。
私が「この度・・・・」と言って巻物を手渡そうとした瞬間、それまで無言だった柳昇師匠がいきなり靴を脱ぎ、上がり込んで「師匠トイレ借ります」
「この度・・・・・」で、しかも巻物を差し出したまま残された私と、頭を少し下げたままの昇太師匠はその形で固まった状態。小さん師匠も「あっ」と言ったきり目をパチパチして巻物を受け取ろうか考えたまま固まってる。
「まずい・・・どうしよう」相手が相手だけに言葉が出ない。
2分位が経過し、もう開き直って改めて挨拶しようと、
「この度・・・・」まさにその時、
小さん会長の後ろからさっぱりした顔の柳昇師匠が
「圓右さんとこでビールを飲んじゃって・・」
ハンカチで手を拭きながら現れた。そして、靴を履きながら一言、
「師匠!昇太を一つよろしくお願いします。それではこれで」と出て行った。
我に返った私は慌てて巻物を渡すと、小さん会長は、昇太師匠と私に向かって一言、
「落語界のため頑張って励むように!何より勉強することだ!」
何とか表に出ると、柳昇師匠は何事も無かったように上機嫌に車へ戻り
「あ~田澤君、、昼ご飯は何処で食べるんかな?」
小さん会長も凄いが柳昇師匠も大物ですね。戦争へ行った人は凄い。
大体、圓右師匠宅で飲むビールが次に向かう小南師匠宅か、本来ならその次の柳昇師匠宅あたりで「もよおす」らしいことが判った。各師匠のお宅でトイレを借用するのは憚るので、後日小南師匠宅の近くの公園の公衆トイレを探しときました。

教訓

「圓右師匠宅~小南師匠宅~公衆トイレ~柳昇師匠宅~文治師匠宅~・・と回ること」

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